ドアに使われる突板とは?突板を使うメリットと注意点を詳しく解説
インテリア雑誌や家具のサイトを見ているときに目にする、「突板(つきいた)」という素材。
木材の一種として認識していても、「突板」の特徴については、あまり知られていない部分も多いでしょう。
今回は、突板とはどのような木材かについて詳しく解説します。
突板を使う4つのメリットや注意点をはじめ、突板のドアを使った事例も紹介しますので、ぜひインテリア選びの参考にしてください。
突板とは
突板とは、丸太を切り出した無垢材の表面を薄くスライスし、別の板に貼り付けた木材です。
厳密には0.2〜0.6mmほどの薄い板そのものが「突板」で、貼り付けられた木材は「天然木化粧合板」にあたりますが、一般的には突板の名称で呼ばれています。
突板について詳しく知るために、まずは木製ドアや家具の素材に使われる「プリント合板」や「無垢材」との違いを見ていきましょう。
「突板」と「プリント合板」、「無垢材」の違い
シート状の天然木を貼り付けた突板に対し、木目をプリントした化粧シートを貼り付けた木材を、プリント合板と呼びます。
キッチンや洗面化粧台など水回りの扉によく使われる実用的な素材ですが、表面がプリントのため、突板に比べると木材としての質感は出にくいです。
無垢材は、丸太から切り出した一枚板を加工した木材のこと。
価格は高価で定期的なメンテナンスも必要ですが、木そのものの魅力ある質感に、根強いファンも多いです。
これらの「突板」と「プリント合板」、「無垢材」を、価格・見た目・メンテナンス性で比較してみましょう。
名称 | 価格 | 見た目 | メンテナンス性 |
突板 | ○ | ◎ | ◎ |
プリント合板 | ◎ | △ | ◎ |
無垢材 | △ | ◎ | △ |
最もコストを抑えられるのはプリント合板ですが、見た目や質感では、天然木を使用した突板や無垢材の方が優れています。一方で無垢材は、質感と美しさで他の素材に勝りますが、高価でメンテナンスも必要なのが難点です。
無垢材よりもコストを抑えつつ、プリント合板にはない天然木の質感を楽しめる突板は、コスト面と質感の両方にこだわりたい方におすすめの素材といえるでしょう。
突板と無垢材の見分け方
突板と無垢材を見分けるときは、板の側面を見るのがポイントです。
無垢材は丸太を1枚の板に切り出すため、表面と側面の木目が揃っています。
これに対し、突板は側面に補強材を貼り付けて仕上げるため、表面と側面の木目は別方向になるのが一般的です。
突板でも見た目や質感を重視したい方には、側面の仕上げまでこだわった製品がおすすめ。杉野製作所では、側面に無垢材を使用した突板ドア「MUKUICHI」を製作しています。
突板ドアの大手(縦の側面)と取手に無垢材を使用しているので、側面まで美しく、強度もアップされています。気になる方はこちらで詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
突板を使う4つのメリット
突板を使って得られるメリットは、次の4つです。
- 価格を抑えられる
- 木目や色合いを揃えられる
- 反りや割れが出にくい
- 軽くて取り扱いがしやすい
それぞれ詳しく解説します。
価格を抑えられる
最も大きなメリットは、天然の木目をいかしつつ価格を抑えられること。
突板は無垢材を薄くスライスして貼り付けるため、1枚の板から複数の突板が作れます。ただしシート状の板を美しく貼り付けるには技術が必要なため、決して手軽に生産できるわけではありません。価格を抑えつつ、天然木の美しさを楽しむ工夫を施したのが、突板という素材です。
木目や色合いを揃えられる
1枚の板から複数の突板を作るため、天然木でありながら木目や色合いを揃えられるのも、突板の特徴。
複数のドアを近くに配置するとき、無垢材は1枚ずつの扉に個性が出ますが、突板なら木目や色合いを揃えられます。一体感のあるコーディネートのしやすさも、突板の大きなメリットです。
反りや割れが出にくい
突板は、反りや割れが出にくく、家具や建具の品質を長く保てる素材です。
突板は芯の部分に、集成材と呼ばれる木材を使用しています。
集成材とは、切り出した板を接着剤で貼りあわせて作った木材で、節や割れのない良質な部分が集められています。人工的に作られた集成材は、天然の一枚板よりも一定の品質を保ちやすく、空気の乾燥による反りや割れも出にくいのが特徴。
集成材を中心に使った突板も反りや割れが出にくいため、家具や建具の品質を長く保てる木材です。
軽くて取り扱いがしやすい
天然木の質感がありながら、軽くて取り扱いがしやすいのも突板の特徴です。
チークやウォールナットなどの銘木は堅い木としても知られ、繊維の目が詰まっています。そのため無垢材として使うと非常に重く、家具やドアなどの建具として使うときには取り扱いに注意が必要です。
天然木をシート状にスライスして貼り付けた突板なら、質感を活かしつつ重さを軽減できます。突板を使えば、天然木の質感を楽しみながら、日常的に使う家具やドアを取り扱いやすくできるのです。
突板を使うときの注意点
突板のメリットに続いて、注意点も紹介します。突板を使うときの注意点は、以下の2つです。
- 傷の修復が難しい
- 深い傷が目立ちやすい
それぞれ見ていきましょう。
傷の修復が難しい
無垢材は多少表面が傷ついても、研磨すればある程度の傷なら修復できます。しかし突板は表面にシート状の板を貼り付けているため、傷がついても研磨による修復ができません。できるだけ傷がつかないよう、注意してください。
深い傷が目立ちやすい
中心に使っている芯材が見えるほど深く傷ついてしまうと、表面と芯材の色が異なるため、特に目立ちやすくなります。
価格面や取り扱いのしやすさなどメリットの多い突板ですが、傷については十分注意してください。
突板を使った室内ドアの事例を紹介
ここからは、実際の突板を使った室内ドアの事例を紹介します。
突板ドアならではの美しさをご覧いただき、ぜひ理想のインテリアを考える参考にしてください。
横方向に木目を使った個性的なデザイン
まずご紹介するのは、横方向に木目を使った個性的なデザインの突板ドア。
木は上に向かって成長しますので、当然木目は縦方向に伸びていきます。そのため無垢材で一枚板を作ると、木目は縦になるのが一般的。
シート状の板を貼りあわせる突板なら、縦方向にも横方向にも木目を貼りあわせられるため、デザイン性の高いドアの製作が可能です。
細長い廊下の先に、横方向の木目のドアが自然と視線を集める、おしゃれで印象的な空間に仕上がりました。
掲載事例:特注 チーク横貼り 大手無垢材 枠セット
存在感のある木目が特徴の突板ドア
こちらは存在感のある木目を、大胆に使った突板ドア。
ノスタルジックな雰囲気をもつ「ラワン」の木目を最大限活かしつつ、無垢材と比べて軽量でドアの開閉もしやすいので、よく使うリビングダイニングへの入り口にもぴったりのドアです。
グレーのアクセントカラーが映えるおしゃれな壁の中央に、存在感のある突板ドアを配置。大胆でありながら木のぬくもりも感じられる、洗練されたリビングダイニングになりました。
杉野製作所の突板ドアで叶える天然木のある生活
天然木の質感を活かした突板ドアは、日常に木のぬくもりを取り入れ、ワンランクアップした生活を実現してくれます。
大分県宇佐市の杉野製作所では、家づくりを楽しんでいただきたいという思いから、突板と無垢材を使用した質の高いドアを製作しています。
突板ドアが気になった方は、ぜひお気軽に杉野製作所にご相談ください。大切なご自宅にあわせたお客さまだけのドアを、心を込めてお作りいたします。